プロパンガスは液化石油ガスのことを指し、この液化石油ガスはブタンやプロパンなどの天然ガスを圧縮して、常温で液化できる状態にしたガス燃料となります。
日本国内ではLPGやLPガスという呼ばれ方をされることも多く、給湯器やコンロなどの家庭用・業務用ガス機器の燃料であったりタクシーの燃料や、火力発電の燃料として用いられています。
一般家庭では主に給湯器やガスコンロで利用されることが大半です。
プロパンガスの特徴を知る上で欠かせないのが、体を成す都市ガスとの違いをきちんと理解しておくことにあります。
違いを理解する上でチェックすべき部分が主成分と発熱量、燃焼範囲と普及率の4つの観点で、どちらのガスを利用するか適切に判断するようにしましょう。
プロパンガスの主成分と発熱量
まずプロパンガスの主成分は主にプロパンとブタンを主成分とする液化石油ガスなのに対して、都市ガスはメタンを主成分とする液化石油ガスです。
そしてプロパンタイプのほうが約2.18倍ほど都市タイプより発熱量が優れている特徴があるので、同じ体積で約2倍以上多くのものを温めることが可能です。
単純計算では都市タイプのほうがプロパンタイプと比べて温めに2倍以上の時間がかかってしまうことになりますが、注意点としては都市タイプのコンロはプロパンタイプのコンロよりガスの出る量が多く出るように設計されているため、どちらの場合でも温めにかかる時間に差はないことを理解しておきましょう。
お互いのガス機器を流用することはできない
そしてこの2つは熱量が異なるため、お互いのガス機器を流用することはできません。
住んでいた場所ではプロパンタイプを使用していたが、引越し先は都市タイプだったという場合に種類が変わってしまうと、ガス機器を買い替えする必要が出てきます。
ただしメーカーによっては対応するガスの種類以外に対応させるため、調整部品を販売している機器もあるので、買い替えが面倒だという方は購入する際に機能などをチェックしてみることをおすすめします。
多くの場合は調整部品にかかる費用は5,000~7,000円で、そこに作業費用と出張代金などが加算されることで15,000~20,000円ほどになります。
プロパンガスと都市ガスの燃焼範囲の違い
この2つの燃焼範囲の違いでは、プロパンタイプの場合都市タイプの半分ほどの量で爆発や燃焼を引き起こしてしまう危険性があるといわれています。
そのためこれからこのタイプを家庭で使用しようと思っている場合には、都市タイプを使用する時以上にガス漏れには十分に気を付ける必要があります。
実際に設置されている家庭に対して、国やガス会社も危険性の高さを十分に理解した上で、事故件数の低下に努めているため法律でも点検期間がしっかり定められています。
安全性の高いサービスが付随しているので、実際に発生する事故は非常に少ない数となっており正しく利用すれば問題はありません。
プロパンガスと都市ガスの普及率の違い
普及率の違いは、都市タイプはガス管を通じて自宅に届くのに対して、プロパンタイプの場合はガスボンベで配送される違いがあります。
そのため東京都や大阪府などの都市部では、予めガス導管がきちんと引かれているので、都市ガスの普及率が高い傾向にあります。
しかし沖縄県や青森県などの地方では十分なガス導管の工事が行われていない現状があるため、普及率が低い傾向にあり、実際に都市タイプは日本の国土の6%にしか配管が通っていないことになります。
それに対してプロパンタイプはガスボンベで配送されるため、ガス会社の営業所の配送エリア内であればどこでも対応することが可能です。
地方在住の方の貴重なエネルギー源として重宝されており地方ではこちらのほうが主流となっています。
【まとめ】自宅でプロパンガスを使用するメリット
これらを踏まえて、実際に自宅でプロパンガスを使用するメリットはというと、熱量が都市ガスに比べて約2.18倍ほど発熱量が優れていることから料理店ではあえてこちらを使用するという場所も少なくありません。
また主成分であるプロパンとブタンは、体に害がないので人体や環境に優しい特徴を持っています。
これはガス会社がガスボンベに不純物が含まれているか、事前にチェックをしているので硫化物やすすなどの有害物質が入る心配がないことも大きなメリットです。
ガスの燃焼後も少量の二酸化炭素と、水になるだけなので有毒な物質は発生せず、環境に優しいクリーンなエネルギーとして注目されています。
ボンベに収納されたガスを直接導管を通じて家庭内に引き込みしているので、災害発生時には外部からの接続の復旧を待つことなくすぐにガスの供給を受けることができます。
日本は自然災害が発生しやすいことから、災害時の復旧の早いエネルギーを使用したいという意識を持っているご家庭にも向いています。
そして通常50kgのボンベが2本設置しているので、1本目が切れてしまっても2本目を利用すれば、約1ヶ月以上ガスを使用続けることができます。
こういった点から災害時にも役立つ貴重なエネルギーの1つとして、プロパンガスを取り入れるご家庭が増えてきている傾向にあります。